感情労働論

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Résumé 勉強会 福祉と自由 第5回
第1部 労働 第5回 「感情労働論」2008年11月27日

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1) 前回のまとめ
 1.「市場主義者」アダム・スミスの別の顔:『道徳感情論』。
 2.道徳感情:個人から集団へ。自分と他者(たち)を知る・実現する活動。
 3.感情規則(道徳についての一般的規則)の成立。集団(社会)の規範と個人。
 4.市場社会における労働の編成。道徳的紐帯と疎外と。
 
2) 『管理される心 人間感情の商品化』(ホックシールド、1983年)
 1.感情労働:医療、介護、サービス、教育、セラピー。脱工業化社会の労働
 2.事例研究 客室乗務員の訓練、債権回収業務の技術。作り笑いと心からの微笑
 3.クライアントとの関係で、自分の感情管理が要求される。表層、深層演技。
 4.感情規則を企業が組織し、利用し、搾取する。
 5.感情労働:クライアントとの感情交換、表層演技か共感か、燃え尽き。
 
3) 同書第9章 本来性の探求 
 1.感情は誰のものか。個人の感情管理と個人間の感情規則vs企業の感情管理
   企業は感情を商品(道具)化するのでなく、感情規則の利用価値を発見し、訓練。
 2.感情労働のリスク  演技規則が外から与えられ労働者のコントロールが利かない。
  1-燃え尽き:「演技」の自覚がない、受動的献身、脱個人化できない、感情喪失
  2-偽りの自己:演技・役割遂行を不純と感じる、演技と自己を切り離す
  3-演技の意図的放棄:職務を果たしていない、働きがいの放棄。責任放棄の自責
 3.感情労働への文化の反応
  1-感情の商品化が文化に。相手の職務上の感情表現を割り引く習慣
  2-管理されない、本来の、自然な感情の価値づけ 「自己実現への道」心理療法
  3-偽りの自己、本当の自己  役割=自己を放棄して、過剰な愛他主義へ
  4-企業 職務において「本来の自己」であることを要求する。「本来の自己の搾
    取」・・・「これは本当の自分か?」、感情のガヴァナンス
    *(自己解釈)の要求
 4.「感情労働の代償に耐えるには画期的なアイデアを必要とする。」(p225)
  仲間内のジョーク、怒りの発散、相互扶助。企業の感情管理から自分の感情規則を切り
  離す。「心の闘争」、「私はいったい、本当は何を感じているのか?」
 
4) 感情労働の自己疎外論
 1.感情とは何か 感情表出行為、動作、言語表現。自己と他者を知る・実現する活動
 2.本来の自己 感情表出する「主体」 同感(感情の等価交換)、本来の役割遂行
 3.疎外された感情(表出行為) 
  感情労働においては、
  1-「他者」の喪失。感情労働は他者との同感を求めながら、他者を剥奪され他者に隷属
    する。
    *感情の不等価交換、関係の非対称性の固定。
  2-「主体」の喪失。感情行為が自分の本質に属していないこと、そのため自分が自分で
    ない、不幸であると感じる。感情は消耗し精神は頽廃する。労働の外部で初めて感情
    を取り戻す。
    *自分の本当の感情とは? 感情の手段(商品)化。自分は「化体」
  3-「本質」の喪失。労働において対他存在であることを実現できず、感情を生存の手段
    にしてしまう。疎外された感情労働は人間から自分の感情を、他者の感情を、感情交
    換するという人間の本質を疎外する。
    *偽りの自己、偽りの感情活動
  市場社会の感情労働では、
  4-「感情力」(労働力)の商品化、資本による編成。感情規則が外から与えられコント
    ロールできず、感情等価交換の自他関係が形骸化する。
  5-「感情力」の自己管理(労働力の再生産)。商品化不可能な感情を商品化する責任を
    労働者に転嫁。
    *労働力商品の再生産を家族に転嫁する。
 
 4.「本来の」感情(労働)行為と「主体」(本当の自分)を回復せよ! 「化体」から
   「主体」へ!
 
5) 感情労働自己疎外論の批判
 1.感情とは社会的関係である。「高貴な野蛮人」(ルソー)はいない。『道徳感情論』
 2.市場労働においては社会的役割遂行(感情演技)する自分が「主体」である。労働にお
   いて、これ以外に本当の自分、本来の感情があるかに考える自己欺瞞から覚めること。
  「本来性」に殉じれば燃え尽き、逆に、「本来性」を捨てれば「務め」としての労働の放
   棄。
 3.感情演技の「一般的諸規則」が労働者集団から析出・超出することを重視し、社会や会
   社でなく自分たちが感情規則をコントロールする。感情の自己管理(セルフ・ガヴァナ
   ンス)を集団の「一般的諸規則」に従属させる。「本来性の探求」を断ち切る。
 
 4.労働の「外部」で本来の自己・感情を取り戻すための感情管理、セラピーに頼らない。
 5.クライアントも感情交換の主役であることを自覚させ、顧客関係に「道徳の一般的諸規
   則」の析出を促す。クライアントを「訓練」する。
 
6) 介護は感情労働か
 1.クライアントと介護者は(機能的に)非対称の関係。医療、教育と同じ。
 2.労働の自己疎外
  1-自分・他者の疎外:介護者が特権化orクライアントの立場に自分を譲り渡す
  2-労働の本質の疎外:「やりがいのある仕事」、「介護の心」、「共感」はどこにあ
    る?
  3-感情の搾取:本当の自分、本心が要求され、コントロールされ、利用される。
  4-感情管理:感情表出行為の自己疎外を個人が管理すべきだ(自分ガヴァナンス)。
 3.まず、介護の労働者共同体として考える
  1-感情規則の共有;スミスの「道徳の一般的諸規則」の形成過程を追体験的に再構成。
   「敵」(世間:集団B、C、・・)は何かを明確にする。「労働の編成」と並行して。
  2-感情規則は演技:労働は役割遂行・感情演技であること。規則が「本来性」を切り詰
    め、あるいは肥大化することを意識しながら介護労働者として成長する。家族・友
    人・本当の自分が別の場所にあっていい。
  3-感情管理の相互扶助:演技と本心との乖離を、自分で(職場の外で)解決しない
  4-介護は技能:技能の共同体であることが感情規則の共有を助ける
  5-経営者との関係:経営者込み、小規模多機能施設をモデルとする。職場で労働を再編
    成することを優先し、階級闘争はお預け。
 4.クライアントとの関係
  1-相手は「弱者」:感情の不等価交換が宿命。相手に合わせ、相手が合わせる関係へ。
  2-相手は生物個体:生物個体としての機能低下を知り、対処技能を高める。非対称性!
  3-(技能)労働者として演技する:過剰な愛他主義、自己放棄、共感を避ける 
  4-相手を教育する:感情と技能の交換の対等性を育む。感情規則の共有化
  5-介護者かつ労働者:労働者どうしの感情規則、相手との感情規則、両者の区別と共有
    と。

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